青緑 (39)

青緑 (39)

夏の日のことである。大学の食堂で昼食を済ませ、建物から少し離れた所で、ヤマモモの実はもう終わったかな などと思いながら林を見ていると、目の前を、青いキラメキが走った。速くは無いのだが、何だろうと思い追っていくと、1つ2つとキラメキが多くなり、その頃には正体がわかっていた。それはヤマトタマムシ(Chrysochroa fulgidissima)であったのである。 飛び回るタマムシをさらに追っていくと、タマムシの行く方向にそれほど高くない木があった。そして、そこでは、圧倒的で幻想的な光景が広がっていた。木の上部の枝に大量のタマムシが連なり、一部は乱舞し、陽を反射して青緑のプラズマのようなゾーンを作…